【安彦良和】第六回北京大学日本マンガ・アニメ文化先端講座に潜入!


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こんにちは、北京留学中のYudaです。

2016年3月に北京大学にて開催された第六回北京大学マンガ・アニメ文化先端講座に行って来ましたので報告します。

北京大学の日本マンガ・アニメ文化先端講座とは?

北京大学の日本マンガ・アニメカルチャー先端講座は、北京大学外国語学院日本文化部と明治大学国際日本学部の共催により2010年から開催されており、明治大学国際日本学部からポップカルチャー研究を専門とする講師陣が北京に出張し、更に日本のマンガ・アニメ業界の著名人をゲストとして迎え、日本のポップカルチャーの最先端を学ぶ特別講義です。

第1回目のゲストはウテナやセーラームーンで有名な幾原邦彦監督、第2回目は「機動戦士ガンダム」の監督として知られる富野由悠季監督、第3回目は手塚プロ代表取締役の松谷孝征氏と手塚眞氏、第4回目は初音ミクの生みの親として知られる伊藤博之氏、第5回目はアニメソングを数多く手掛けた音楽家菅野よう子氏を迎え、どの講義も好評を博したようです。

第6回目となる今回の特別講義は「機動戦士ガンダム」のキャラクターデザインを務めた安彦良和氏がゲストとして参加し、「サブカルチャーとしてのアニメ、あくまでサブカルチャーとして」というテーマで講演が行われました。

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明治大学国際日本学部のYudaが特別講義に潜入!

実は僕、この特別講義を主催している明治大学国際日本学部の学生なんですよ。

前々からこの特別講義の存在を知っており、いつか行ってみたいとは思っていたのですが、まさか本当に行ける日が来ようとは・・・・。

いやはや、北京に留学して正解でした。(笑)

ちなみに明治大学と北京大学が連携して設立した「北京大学マンガ図書館」は、去年短期留学で北京に滞在した時に取材したので、そちらの記事もぜひご一読を。

明大生必見!これが北京大学マンガ図書館だ!

講義開始前から長蛇の列が・・・!

北京大学の知り合いから、会場が狭いから早めに行ったほうが良いと聞いていたので、講義開始30分前に現地に到着したのですが、既に会場前には長蛇の列が・・・。

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列が室内では収まりきれず、屋外まで並んでいました。

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会場の様子。

30分前に会場に着いたにもかかわらず、席に座ることができず、立ち見をするはめに。

・・・どうやら僕は中国のガンダムファンを甘く見ていたようです(笑)

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ガンダムとザク。

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特別講義スタート!ざっくりと講義の概要をご紹介!

安彦良和先生が登場すると、会場からは大きな拍手が送られました。

北大・明大関係者のごあいさつが終わった後、安彦先生が登壇し講義がスタート。

全て書くと長くなってしまうので、聞いていて重要だと思った部分を要約してご紹介したいと思います。

※ 以下の文章は安彦良和先生のお言葉を全て正確に書き起こしているわけではありません。便宜上若干表現や構成を変えています。

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自分の生い立ち

農家の三男として生まれ、大学には入れてもらったが卒業できず、流れるように上京しました。当時アニメには全く興味がありませんでしたが、とにかく生きるために仕方がなくアニメの仕事を始めました。富野由悠季監督は大学で映画を学んで映画人を志していましたが、私は何かの間違いでこの業界に入ってしまったのです。

虫プロの面接の思い出

虫プロの求人広告を偶然目にして虫プロに入社することになるのですが、虫プロの面接に行った時のことはよく覚えています。面接時に試験官にアニメーションについてどう思うかと質問されたのですが、アニメなんてまともに見てなかったから答えようがありませんでした。

でも一つだけ見ていた作品がありました。それが、中国の民話を題材にした日本初の長編アニメーション「白蛇伝」です。小学生の時に街の映画館で見て大変感動したことを思い出したのです。そしてチラッとだけ見た他のアニメのことも思い出し、白蛇伝は素晴らしいが最近のアニメは酷いと答えました。

後で知ったのですが、白蛇伝は当時虫プロのライバルだった東映の作品で、酷評したアニメは虫プロの作品だったのです。でも不思議な事に私は入社できました。今でもあの面接官の方には大変感謝しております。

ロボットアニメを作った理由

オイルショックで世界的に不景気だった頃、テレビ業界もその影響を免れることができず、企業がアニメのスポンサーを継がなくなるという事態が発生しました。

ただ、唯一残ってくれたスポンサーがありました。それが玩具メーカーです。その玩具メーカーの注文に応じて仕方がなく作ったのがロボットアニメでした。富野監督は、「俺たちはおもちゃ屋の手先だ」とよく皮肉を言ってましたね。彼はそういう皮肉が大好きなんです(笑)

ただ、玩具メーカーがスポンサーでいてくれて良かったのは、彼らが内容に関してはあまり干渉してこなかったことです。

そうしてどん底の状態から自分たちで作り上げたのが「機動戦士ガンダム」だったのです。

メインとサブ

この講義で何を言いたいのかというと、自分はマイナーな人間であるということです。

私は裏街道ばかりを歩く日陰者です。生活のために仕方がなくアニメ業界に入った昔も、全く売れないマンガを書いている今も私は常に日陰者です。しかし68歳生きてきて自分の人生を振り返ると、日の当たらない日陰者で良かったなと思うのです。人生の面白いことは日向にだけあるわけではないのです。ガンダムもマイナーな人たちが集まって作り上げた作品です。私は今でもメインではなく裏(サブ)であることに拘っています。

皆さんは北京大学という中国の最高学府に選ばれたエリートだと聞いています。皆さんのような方々にはあまり参考にならない話だったかもしれませんが、私のような人生の生き方もあるのだということを知っていただければ幸いです。

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安彦先生の講演後、明治大学国際日本学部の森川准教授が安彦先生の作品が日本の二次創作に与えた影響について講演しました。

森川先生のユーモアに富んだ解説に会場が大いに沸きました。

感想 

今回の講義はアニメ・マンガという括りを超えて人生への示唆に富んだ非常に有意義な催しだったと思います。

安彦先生は一貫して今回の講義のテーマでもある「サブカルチャーとしてのアニメ」を強調しておられました。

「サブカルチャーとしてのアニメ」という視点は安彦先生の「日陰者」としての生き方に深く根差しており、なぜ安彦先生が「サブカルチャーとしてのアニメ」に強い拘りを持っているのかがよく分かりました。

「サブカルチャーとしてのアニメ」は単なる枠組みの一つなのではなく、日本のアニメの歴史を振り返ると非常に的を射ている表現だと思いました。

実は、この講義を聴くまで僕はアニメやマンガをサブカルチャーという括りに入れられることに否定的な考えを持っていました。これは僕の師匠である故・櫻井孝昌先生の考え方の影響なのですが、つまり、文化にメインもサブもなく全て平等であると考えていたんですよね。

しかし、今回の安彦良和先生のお話を聞いて、アニメが日本だけではなく世界中で支持されたのは、アニメがあくまでサブカルチャーとして進化してきたからではないかと考えさせられました。

決してメインにはなれないサブカルチャーという枠の中でアニメが作られたからこそ、日本のアニメにしかない独自性が生み出され、アニメが子供だけが見るコンテンツから大人の視聴に耐えうるコンテンツへと、そして日本国内にとどまらず世界中で評価されるほどのコンテンツへと昇華したのではないでしょうか。

そして、それは人にも同じことが言えると僕は思います。

日の当たらない日陰者だからこそ生み出せる力があると僕は信じています。

それでは今日はこの辺で。

ではでは!

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